HDDのS.M.A.R.Tの見方

 

はじめに

ALTURA XでCPOをやっている山下です。
手元のHDDの調子が悪くなって、久しぶりにSMARTを確認する機会がありました。今回はHDDやSSDに搭載されているSMARTについて紹介したいと思います。

SMARTとは?

HDDやSSD本体に内蔵されている監視システムです。
HDDやSSDの使用中に発生する様々な事象の統計情報を取得して記録し、HDDやSSDの故障の予兆を検知するための材料にすることができます。みなさんがお使いのPCのの内蔵のNVMe接続のSSDや外付けのUSB-SATA接続のHDDにももちろん内蔵されており、SMARTを参照することができます。

どうやって見るのか?

Macは使ったことがほとんどないので不明ですがLinuxと同じツールが使えるのではないかと思います。

Linux

以下のツールで確認できます。

Windows

以下を使うと簡単に確認できて、異常のあるHDD / SSDについては警告が表示されます。

どの属性が重要なのか

実際にを使って私がUSB経由で接続しているSATA HDDのSMART情報を取得すると以下のように表示されます。
上記がすべての情報になります。この情報の中でも以下に注目します。
今回のHDDでは上記の属性だけですがHDDによって出力される情報は異なりますので、最終的にはHDDのディスクに異常があると変化する属性に注目するのが重要です。今回の属性の中で、私はが注目している属性は以下の通りです。
  • Power_On_Hours
  • Airflow_Temperature_Cel
  • Temperature_Celsius
  • Load_Cycle_Count
  • Current_Pending_Sector
  • Offline_Uncorrectable
詳細は以下に記載しますが、これらの値を見るとこのHDDは交換時期に来ており、早めにバックアップを取って交換する必要があります。

Power_On_Hours

HDDが通電されていた累積時間を表しています。
購入したのは5年以上前ですが使っていなかった期間があり、今回のHDDでは2.8年ほど通電されていたようです。
経験則ですが常時通電していたHDDだと概ね3万時間を超えるとHDDに何らかの異常が生じる印象です。今回のHDDは2.4万時間ほどでしたが読み取りに異常が発生しました。
ただし、統計上はもっと使えるようです。Backblazeというデータセンターで大量にHDDを運用している会社が公開している情報では長いもので平均8年ほど使えるものもあるようです。
家庭で使うHDDは運用環境がデータセンターに比べて悪い傾向がありますので、データセンターの統計に比べれば寿命が短くなるのは致し方ないかと思います。

Airflow_Temperature_Cel と Temperature_Celsius

HDDの温度を示しています。今使っているHDDはデスクの上に裸でおいてあるので室温より10度ほど高い程度で済んでいます。
ケース内に入れると40度ほどになる場合があり、夏場は45度程度まで上がります。一般的にHDDは25度程度で運用されたほうが寿命が伸びますが、家庭でそれは非常に厳しいと思います。
目安として確認しておいて、50度を超えるなら設置場所やファンの設置など検討が必要になります。

Load_Cycle_Count

HDDのヘッドがディスク上に移動した回数を示しています。この回数には定格があり、メーカーによって異なります。概ね5〜60万回と幅がありますが、数千程度であれば問題無い範囲です。なお、これまでの運用の経験からのこの数字が5万回以上の数値を示すのは見たことが無いです。

Current_Pending_Sector

HDDの全セクターの中で読み取りができなかったセクターの数を示します。新品時点ではもちろん0で、正常なHDDはほぼ0を示しています。
このHDDは16となっているのですでに読み取りができないセクターが発生しており、回復していないことを示しており今後も増えていくことが懸念されます。

Offline_Uncorrectable

セクターの読み取り時にエラー訂正できなかったセクターの数を示します。エラー訂正できないレベルでセクターのデータが破損していることを示しており、HDDの損傷の度合いを示します。
このHDDは16となっているので非常に良くない状態です。

おわりに

最近HDD / SSDの調子が悪いように感じると思ったらSMARTを確認してみるのも良いかと思います。
本来は故障の予兆を検知するための仕組みなので、専用のソフトを入れてSMARTを常時監視させて、SMARTの変化から異常を検知しアラートが上がるようにするのがおすすめです。